あの日の約束テトラポットの先にまたがり、大声で叫んだよ。波に負けないくらい。 風に麦わら帽子とばされた、夏だったね。忘れない。 裸足で海を蹴飛ばし、もつれあってずぶぬれ。 服のままで、なんどもなんども 投げられて笑ってたね。 そんなことが嬉しかった。 日差しにちりちり、腕が焼けてくよ。 あなたの影にかくれて。そしてKISSして。 魚になって泳いで。そしてしがみついてた、夏だったね。 忘れない。 なんどもなんども。確かめ合って。 明日もあさっても。これからもずっと。 夕日が沈んでくよ。 肩寄せ合って、じっと見てた。ぎゅっと手をつないで。 お土産にひろった貝殻。ダッシュボードに並べてみた。 夏だったね。忘れない。 ************************************** 暁の空の下、 寝ぼけた目をこすりながら、 最初のキスをしたね。 背中にまわしたあなたの腕の 確かな強さが 私、本当に大好きだった。 あいしてる。 あいしてる。 あいしてる。 なんど、口にしても、足りない気がした。 今日明日、あさって。毎日毎日が 私とあなたの、ストーリーを作る。 喧嘩して泣いた日も 肩を叩いて笑いあった日々も。 ずっと、いつまでも続くと信じてた。 ありがとう。 ありがとう。 ありがとう。 そんな寂しい台詞も、今なら言えるわ。 あいしてる。 あいしてる。 あいしてる。 なんど、口にしても、足りない気がした。 そんな寂しい台詞も、今なら言えるわ。 ************************************** あなたの本心をはかりかねて 私はその腕の中から飛び出してきた いつだってあなたのものになりたかった。 あなたのそばにいたいと 眼で、指で、いつも精一杯伝えてきた そんな私を抱きしめてはくれなかった いつだってあなたは大人だった なのに 抱きしめられた時、私はこわくなって逃げた このまま堕ちて行くのがこわかった やっぱり私は子供だった 好きでした…あなた。 今なら静かに、その胸に甘えられる でも私はもう、あなたのものには、なれない ************************************** たった一つの障害が乗り越えられなかった2人。 手を離したら、もうお互い傷つけ合うだけだった。 今頃どうしているだろうか? 同じナイフを、今も隠しているのだろうか? ************************************** 懐かしい道だね。2人よく手をつないで歩いた。 今はもう子供じゃないから、そっと腕に手をかけるだけね。 この道を歩きながら、いろんなはなしをしたね。 あなたに出会わなければ、今はきっと違う人生だった。 この道を歩く時も、涙が止まらなかったはず。 いつもありがとう。 この落ち葉の絨毯をふみしめながら、 来年も、これからもずっと2人、歩いて行こうね。 ************************************** 砂浜にしゃがみこんで 海風に背中を向けて花火した 晩夏の夜。 激しく燃えて、七色の火花を散らして しゅうっと音を立てて 消えていった。 ************************************** 私たちは夢のように暮らしてきた。 日のあまり差さないあの部屋で、 笑い、泣き、喜び、悲しんで、 それでも、明日を信じて 光の中で暮らしていた。 うまくいかなくて、途方にくれても、 歌を口ずさめば、気持ちは晴れた。 買い物袋をぶら下げて、 絡めた指をふりながら、あの部屋に帰った。 就職が決まって、卒業して 部屋を出るとき、私たちは、 夢から覚めた、白けた顔で、 それでも最後の握手の時は、 その手の力強さに、少し戸惑った。 (こんな手だったんだ…) その手は離れて、バイクにまたがり、 ちょっと笑って手を振って テイルランプは遠ざかった。 夢のように私たちは暮らしていた。 何も怖いものなんて、なかった。 終わりが来るなんて知らなかった。 ************************************** 風の吹きすぎる土手の上を、 自転車で走った。 秋の夕暮れ。 川面の小さな波が、キラキラ夕日に光り、 人々の影が長く斜面に落ちる。 草のざわめきなの?かすかな川のせせらぎなの? あなたの声が、 懐かしい声が、耳をかすめた。 振り返ると、鉄橋の向こうの夕闇が迫った。 ************************************** さよなら。最後にかわしたのは、その一言だけ 唇も触れ合わずに、背中を向けた。 木漏れ日の中を、顔を上げて歩いた。 泣いた顔、誰に見られたって良かった。 今、振り返ったら、あのひとも振り返ってるかもしれない。 それくらい、私たち分かり合えた。 でも振り返らない。 あのひとも、それを望んでいるなら。 ************************************** もしも可能なら帰りたい。はねをあげて走って行きたい。 輝いていたあの時代へ。 もしも許されるなら、あの瞬間に戻れるなら、 きっと選んでいた。もうひとつの道。 つながっていたあの頃は、約束なくても会えたのに 糸が切れた今は、偶然にも会えない。2度と、会えない。 たぐりよせようとしても、指先は空をきるだけ 淋しさだけが、私のものになった。 わがままも、笑い声も、強がりも、ためらいも ただ、あなたが好きだったから。 もう2度と、会えない。 ジャンル別一覧
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